「起業家講演会」高校生向け作成資料

2006-03-17

@会社概要 

社名        有限会社ヒューマンシステムラボ

      所在地      西茨城郡友部町大田町1088−9

      設立        平成9年2月3日(1997年)     31才で起業

      資本金      500万円

      代表取締役 鈴木 智章       1965年(昭和40年)生まれ

      目的        コンピュータ機器製造及び販売、ソフト開発販売、システムの企画、

開発、設計及びこれらのコンサルタント

 

 元々ソフトウェア開発をしていた私ですので、会社設立最初は、日立製作所関連の孫請け的仕事をしていました。ただ、2年弱でここからの仕事を貰うのを止めて、他の以前からお付き合いのある、財)原子力安全技術センターや道路公団系列会社からのデータベース作成、そして今、メインとしている学校向けのコンピュータ教室の設計、ユーザ管理ソフトをベースに、学校の1つ1つのケースに合ったカスタマイズをして、システム構築をしています。最近はコンピュータシステムにシンクライアントと言うシステムが注目され始めて、その種類も数種類存在するのですが、その中でeHDという日本ではFAJが輸入し、弊社はそれを茨城の学校を中心とした販売をしています。

 昨年、茨城県内のコンピュータ教室が約30弱あったのですが、その中で7校がシンクライアントを採用し、弊社が関係したeHDシンクライアントは3校でした。実は、それまで、弊社が関われたのは年に1校平均でしたが、このシンクライアントのおかげで売り上げ、純利とも伸ばすことができました。(それまでの赤字が大きいのでまだ、まだ累積的には赤字です。だから成功していない起業家の位置づけで見て下さい)

 

数年前よりマイコンボードを使ったロボット入門キットの製作、販売を始め、昨年は、(財)つくば科学万博記念財団の支援事業にて採用(自分も参加しているロボカップジュニア茨城ノード実行委員会)されて、小中学生向けの「親子ロボット教室」を、水戸の県立図書館、茨城大学工学部、筑波学院大学、勝田工業高等学校等で行いました。

 

 現在コンピュータシステムにシンクライアントと言うシステムが注目され始めている。

 会社や学校など沢山のパソコンがあると管理がとても大変でだが、このシステムを使うと、その管理が半分以下(最大1/10程度)に減り、管理コストが下がる。タイは日本の物価の十分の1程度なのにパソコンは日本とほぼ同じ値段なので、私は中古パソコンにこのシステムを組み込んで販売すること等を考えている。

 

A起業した目的・動機

最初に、水戸工業高校を出てからの経歴を交え、起業するまでにどんな変化があったのかを話します。卒業の昭和59年(1984年)、音楽も好きだったこともあり、大阪有線放送社(現株式会社USEN)に入りました。入って驚いたのは、自分の仕事が電柱に登って線を張ったり、スナックなどの飲み屋さんや色々なお店に有線を受信する機器を取り付けることだったからです。ファッションホテルなどの仕事もあり、普段あまり入る機会の無い私には色んな部屋を見られたのは貴重な経験でした。(笑)

当時USEN水戸放送局支店長から、しばらく勤めれば研究室(放送局設備の開発と設置が仕事)に行けるからと言われ(ある意味騙され)結果的にそれが無理と分かり、また、石の上にも3年どころか6年いましたのでもういいかと考え、コンピュータ会社をしていた人との出会いをきっかけに、ある会社ソフト開発に入りました。

コンピュータは高校の頃から触ってはいましたが、あくまで趣味で簡単なことしかしておらず、そのころはパソコンが出始めの時期で、パソコンを仕事で活用するのも始まりの頃でした。かの有名なマイクロソフト社がまだ、MS−DOS3.0(これは、コマンドラインで動かすOS)を出していただけで、マイクロソフト社がまだ小さく100人程度の会社だった頃です。

こうしてソフト開発のプロとして始め、運が良いことに建設省土木研究所のスーパーコンピュータを使ってFORTRANプログラムを作り実行したり、某大手の下請けで原子力発電所の二次冷却水の水質管理で使う「化学管理支援システム」と言うUNIXで稼動するシステム開発をゼロから作ることを任され、当時最先端の技術習得が出来ました。ただこの頃、自分個人のお金で月に2万〜3万位はコンピュータに関する本を買い、結構夜遅くまで勉強していた様に思います。ソフト開発は苦しい面もありますが、完成して現場でちゃんと動いているのを確認した時や、数日悩んで分からなかったバグが見つかった時のあの感じ(感動)は経験した人しか分からないですが、逆を言えば、自分にこの仕事が合っていて、結局は楽しかったから続けられたのだと思います。

 

それからやっと独立に向かう動機の話となるのですが、その会社で7年を過ぎたころ本校(水工)の情報技術科で、Windows95をやネットワークについての実習装置を作る話が出ていて、私の元担任(情報技術科の鶴ヶ谷先生)や他の先生もある関係で知り合っていたので、その話を私に相談してくれたのがきっかけです。それが始まりで、学校(特に工業高校として)その時教えていた事に、もっと別の視点から最先端の技術導入が出来ないかと生意気にも考え、学校向けの教育システム事業をしたいと、その時の社長に、給料半分でも良いからとまで言いきり頼んだのですが、駄目だと言われて独立を考えました。まあ、それまでの仕事で年1000万以上を売り上げていた私が、どれだけ収益があるとも分からない学校向けへの新事業をやりたいと言ったところで良いよと言う筈は無いのですがね。

 

B起業するために必要な技術・資金・心構え

  会社の事業を続けるには全てをバランスよく持っていなければならないと思います。

ただ、会社を大きくしてゆくならば、経営に専念するため、もっと優秀な技術者を雇い、自分は営業に徹するのが通常の過程と思います。また、お金だけでも駄目です。どの技術レベルかは自分の判断で行くしかありませんが、もし技術がある程度充実して起業を考え出したら、次は資金です。最初から銀行はお金を貸しませんので、自分で貯めたり親に出してもらうか、親が連帯保証人になって銀行から借りるなどして下さい。良く聞くかもしれませんが、どんなに仲が良くても友人からお金の貸し借りをすると友情を壊す確立が非常に高いです。親戚も同じ理由でお勧めできません。もし、親も出してくれないときは、ベンチャーキャピタルをしているところを調べて、自分が立てた事業計画を上手に説明します(これもまた難しい)。

  自分の将来に向けて夢を持つことが一番大事ですが、夢と妄想の区別が出来ないと話になりません。

  「自分らしく生きることを宿命づけられた起業家たち」

「自分らしく生きることが最上の価値」

  これは、ある雑誌に若手起業家特集があり、そこに載っていた言葉です。

   技術力や資金は大切ですが、そもそも自分は何のために生きるているのか、精神論ですが、これを根底に置いて居ないと、仕事が失敗したときに、これで終わりだ!と思ってしまいます(私自身が経験済)。言葉では軽いかもしれませんが、根底に生きる理由を考えておくと、失敗して、直ぐには立ち直れないとしても、やがて、次はどうしよう!の方向に持って行ける筈です。

私は五体満足の人間です。「五体不満足」の乙武さんの本を読んで見るのも良いと思います。あの人はこの本で成功している1人ですが、この本を出して有名になるまでどれだけ差別や偏見を体験してきたか想像出来ません。このタイトルを見ただけで、たぶん本人がたえず自問自答の中で出た答えだと私は思います。だから私は、乙武さんも「自分らしく生きることが最上の価値」を間違いなく理解している人だと信じます。

 

C起業した結果どうであるか(良いこと、悪いこと、苦労したこと・・・)

  良い、悪い、苦労などは、経験した人がそれぞれ感じ得られることが多く、言葉で話してもなかなか伝えにくいものなのでちょっと変えます。

起業までは誰でも出来ると思います。ただ、その事業を継続し続けることは、誰でも出来るとは思えません。自論ですが、会社を経営し続ける極論は、自分に問い続けることです。

絶えず自分に対しての管理を安定して持続できるか、自分に嘘を付かず自問自答が出来るかだと考えています。

  そもそも人間は弱い生き物です。仕事が順調なときやお金が入っている時に、甘い自分が出できますし、辛いときはその辛さの邪念に負けて自信を無くし、それが続くと死を考えたりします。その時にどれだけ自己管理(自分のコントロール)が出来るかどうかが真髄であろうと考え、何時も自分の行動を監視しています。もちろん自分では限界がありますので、信頼する友人を作り、自分の行動に対し疑問が起きたときはありのまま話してくれる様に頼んでおいているのです。その為にも、しっかりと話し合いが出来、時折意見の相違で言い合いになっても、ある部分は互いを認め合える、そんな友人は大切です。友人は多ければ良い訳でなく、信頼できる友人を作っておくべきです。

 

D起業するための手続き(但し、今度直ぐに実施される商法改正前の概要)

1.        設立登記申請書         1通

2.        登記用紙と同一の用紙      1部

3.        定款              1通

4.        出資払込金保管証明書      1通

5.        取締役の調査書         1通

6.        取締役の就任承諾書       人数分各1通×2(会社保管用)

7.        代表取締役の就任承諾書     1通

8.        取締役の印鑑証明書       人数分

9.        登記申請委任状         1通

10.    代表取締役の印鑑届書、印鑑紙  1通

11.    登録免許税納付用台紙      1通

 その手の本を買って見れば分かります。お金があれば司法書士に相談して下さい。

 

 なんと今度の4月1日から(私の間違いで5月からかも知れません)、会社は1円(実際は登記他で最低25万程度は必要)で、株式会社を作れるように商法がかわりました。それまでは、有限会社が最低300万以上、株式会社は最低1000万円以上の資本金が無いと、法人を起せませんでした。

 

E工業高校生に望むこと

力があれば高校生で会社を起している人はいます。YahooJapanの孫さんなども、日本の高校を中退してアメリカに渡り、独自の翻訳機を作りそれを売ったお金(約1億円)を資本にして会社を起したのは有名な話です。でもそれは、特別な人(天才?)だと思います。私は30才を過ぎてから会社を起しましたが、目的が会社を起すのでは無く、自分のやりたい仕事を自由にしたい!、でもそれを出来る会社が存在しない!が先に来ました。でも当然あまくはありません。35才の頃、躁状態になり、悟りを拓いたと勘違いした時がありました。その時、友達だった起業家にそんな話をしたら、鈴木さん、それを20才位で感じる人が天下を取るんです。などと言われたことがあり愕然としました。今まで、歴史上の織田信長、豊臣秀吉など、昔だから戦いで天下をとれた、優秀ではあるが少し運の良い人程度にしか考えていなかったからです。当然運も必要ですが、その元となる力やカリスマ性がなければ、天下など取れる訳がありません。

現実の話しに戻すと、今フリーターやニートが増えていますが、これはその人だけが悪いのではなく、その様な教育を進めてきた日本、夢を持たせることが出来ない社会(政治)の方が責任はあります。今回、県側が高校生向け起業家講演会を企画した意図は、起業した人の話を聞いて就職に対するイメージを強く意識してもらいたいのが本当の理由と考えられます。

まずは就職すると言う人は、就職した後でつまらない!自分のやりたいことでないと思ったときに考えて欲しいのですが、仕事の出来ない新人に最初から面白い仕事など回ってくるのはまれです。石の上にも3年・・・出来れば5年は最初に入った会社に居てください。それは仕事内容如何に関わらず社会勉強にもなり、よほどひどい会社(人をあからさまに騙して商売する会社など)でも無ければ(たとえそれに近くても)、その数年間働くことは無駄にはならないと思います。(現に私が最初に入った会社がかなり無謀なやり方で事業拡大をしていましたし、社長が捕まったこともあったのですが、それでも社長は法律が間違っているとお金を払えば直ぐ釈放されるところを意地はって牢屋に入った人です。褒められることでは無いですが、ある意味凄いです。)

それでも居る意味が無いんだと感じたら、他の会社を探すか自分で起業して下さい。

 

Fその他

  昨年から年明けに、大きな社会問題がありました。

 

  今、世の中は、悲しいかな老人を騙してリフォームさせるとか、癌に利きますなどと、人の弱みに付け込んで大きな利潤を得る会社はあります。それが法律の抜け道を使って、裁くことが出来ないこともあります。ただ誤解を恐れず言えば、私は間違ってもこの人達を起業家とは呼びたくありません。確かに大きな利潤を得ることが悪いわけでは無く、利潤を上げる為に、営業は(自分の生活、家族の為にも)お客の心を動かし、それが騙しているのではないかと感じるギリギリのところで働く人が沢山います。私がそれらを判断出来る訳ではありませんが、少なくとも経営者は、それら全ての責任を負いながら従業員へ指示を出すべきです。仕事を取って来た営業内容の確認やそれがグレーに近い場合どうするかの判断やその責任が経営者の仕事ですから。

  後だしジャンケンでも、相手が気がつかないほど早くできたら・・・法律はそんな微妙なところを裁けません。私は起業家の誇りとモラル(良心)で行動したいです。

 

 

参考文書

日本再生論     著者 金子 勝

・働くということ   著者 黒井千次

・この他に、雑誌の最近の若手起業家を特集してあった記事とWebで検索した関連記事やコラムなど

 

 

最近、自分に刺激を与えた本

題名                        著書者            出版書店    価格

こころの情報学              西垣 通          ちくま新書 \   660

アフォーダンス新しい認知の理論   佐々木 正人      岩波書店    \ 1,000

私の脳科学講義              利根川 進        岩波書店    \   700

マッチ箱の脳                森川 幸人        新紀元社    \ 2,200

 

以前から勉強になった、本(漫画)

◎ ナニワ金融道

ちょっと絵が汚い感じで、内容もえげつないですが、お金と言うもの、現代の法律上の盲点、そして、まじめな青二才主人公が繰り広げる、現実にありえる問題ばかりを取り上げた傑作漫画

 以前NHKの深夜番組で、この本について何人かが討論していました。その中での話しなので嘘ではないと思いますが、ある弁護士事務所の本棚に、この「ナニワ金融道」が並んでいたそうです。最後の頃に、一部、手形の盲点を突いた、1号不渡り、2号不渡り、そして0号不渡り(これを使うケースは殆どないので盲点)

 

 課長 島幸作

  これは単に、運の良い団塊世代の主人公が、これも自分の矛盾点を付く、超エリート達と繰り広げる大企業の中の1課長の物語で、フィクション色が強いが、一部、会社上のそれぞれの立場での考え方の違いや、大企業ではそれがまかり通ること、大企業の社会的責任などインナーコンセプトに出てくることは読んで損は無い漫画です。

 

◎ビックマネー(TVドラマ)原作は「波の上の魔術師」

 株の相場士を題材に、かつて日本の株を操作して大もうけしていたが、引退寸前の相場士が、たまたまフリーターしていた青年と出会い、その青年に株取引を教え込んで行き、一流銀行エリートマン(日本の経済の血が金でそれを動かしている心臓が銀行だから偉いと思っている人)と何も分からなかった青年が、自分の成長とともに、合法で出来ること、非合法ではあるが、人間のモラルとしてはその方が正しいと思うことで動いてゆくドラマ(当然フィクションなので最後には青年が捕まるが、モラルで勝つ)

 

図解雑学 以下の2つともナツメ社

 心の病と精神医学 著者:景山任佐  

 心理学      著者:大村政男